今回は女優・山本舞香を取り上げる。いまや『有吉ゼミ』『しゃべくり007』(日本テレビ系)、『櫻井・有吉 THE夜会』『ジョブチューン』(TBS系)、『ホンマでっか!?TV』『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)など、各局バラエティに引っ張りだこ。むろんこれは、公開中の映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の番宣のためでもある。ただ上記の番組は、各局の花形番組ばかり。つまり制作側が“呼びたい”人材であることを意味する。
爪痕を残す女優
29日の『しゃべくり』では、芸能の仕事について「ウソついてまでやりたい仕事ではない」とあっけらかんと話し、この世界に入った最初の動機として「遊びがてら」と正直に答え、世の女性に対しは「世間に好かれようとしている女子は好きじゃない」と切り捨てるなど、その天衣無縫なキャラクターが全開。しっかりと爪痕を残してくれた。
抜群の愛されキャラ
そんな一見、ぶっきらぼうで気の強いイメージのある山本だが、意外と愛されキャラだ。彼女は2017年4月から『王様のブランチ』(TBS系)に大友花恋、石田ニコルとのローテーションで3週に1度出演しているのだが、彼女の週は笑いが多い。それはもっぱら、空気を読まないキャラの山本をアンジャッシュ渡部建や、オリエンタルラジオ藤森慎吾がイジるからだ。
13日の『ブランチ』には、新ドラマ『凪のお暇』(同)から主演の黒木華、高橋一生、中村倫也が登場した。黒木演じるヒロイン凪は空気を読みすぎる性格とのことだが、彼女自身も例えば、「今日何を食べるか」ということもなかなか意見が言えず、「みんなの食べたいものでいいよ」と、周囲に委ねてしまうと告白。それに対し、渡部が山本に「(あなたは)まったく空気を読まないねぇ」と水を向けると、彼女は臆することなく「(黒木の考えが)うん、わかんない」と答え、藤森から「ちょっとはわかれ!」と注意され、笑いを誘っていた。彼女がいるところに、常に笑顔が集まるといった感じなのだ。
ショートカットにすると売れる説
山本は、三井のリハウスのCMのリハウスガール(歴代の先輩には宮沢りえ、蒼井優など)、さらにはJR東日本冬のキャンペーン「JR SKI SKI」出身者(広瀬すず、川口春奈なども輩出)ということもあり、デビュー当初は美少女、正統派女優の系譜に長らく置かれていた。そのせいか、彼女の場合は少し世に埋もれている印象があった。
そんな彼女の転機となったのは2016年7月。ドラマ『ヤッさん~築地発!おいしい事件簿~』(テレビ東京系)での役柄に合わせるため、ロングヘアを約 25cmカット。大胆なイメチェンを図ったのだ。
芸能界には、ショートヘアにすると売れるというケースが意外とある。剛力彩芽も当初はロングヘアだったが、ショートにしてからブレーク。また波瑠も、モデル時代に編集長に言われて髪を切ってから、女優の仕事も舞い込むようになった。同様に、山本をめぐる環境も、髪を切ったあたりから変化し始めたように思う。
では、バラエティで「山本舞香が面白い」と言われ始めたターニングポイントはいつだったのか? それは昨年5月23日の『ホンマでっか!?TV』であったように記憶している。映画『恋は雨上がりのように』の番宣で、ヒロインを務める小松菜奈、さらには共演者の清野菜名、濱田マリとともに登場。だが、ひときわ存在感を放ったのが彼女だった。恋愛についてのトークになった際、明石家さんまから「浮気を見つけたら?」と聞かれ、「ころ……」とポロリ。さんまが「殺す!? あんた一番怖いで!?」と戦々恐々。「ころ、ころころ……コロコロする!」と言い訳し、さんまも「コロコロされるねんな(笑)。俺は殴ってほしいわ、それやったら!」とテンポの良い掛け合いをして話題を呼んだ。
スタッフはよほど彼女が気に入ったらしく、なんと翌週の放送にも、山本一人だけゲスト出演。さんま、さらにはマツコ・デラックスに強烈なインパクトを与えたのだった。
それから3カ月後の『アウト×デラックス』(同)でマツコの前に再び彼女が現れた時、女優という生き物に対する猜疑心が強いマツコも 「来たわよ。すごいの来た」と、喜んでいた。
天性の演技力とヤンキー気質
女優としてのセンスは、青春ラブコメから時代劇、刑事もの、本格アクションなどオファーが絶えないことから言うまでもないが、ひとつだけ挙げておきたいのが、映画『ひるなかの流星』の中でヒロイン・すずめ(永野芽郁)と枕投げをするシーンで、山本がアドリブで「顔はやめて!」と言ったというエピソード。これを聞いた時、かつて『3年B組金八先生』(TBS系)で、三原じゅん子演じる麗子が、同級生へのリンチシーンで仲間に発したセリフ「顔はやばいよ、ボディやんな、ボディを」を思い出してしまった。
マツコは山本を評して「ほぼ、そのへん歩いているヤンキーと構造は変わらない」と言っていたが、その天性の演技力とヤンキー気質で、清廉潔白、優等生的な同世代女優の中で、大いに存在感を発揮していくことだろう。
(文=都築雄一郎)
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Source: 日刊サイゾー